そんな会話をしながら数年ぶりの華やかなお城の中へ通されて、椿の部屋の前に到着した。
ガチャッと黒崎さんがドアを開けると懐かしい光景が飛び込んでくる。
一緒に遊んだオモチャはほとんどなかったけれど、懐かしい思い出が走馬灯のように蘇った。
……にしても、相変わらず広くて煌びやかですごい部屋だな。
「明里が来たって?」
窓際から椿のまだ寝起きだと思われる声が聞こえてくる。
「椿、おはよう……!」
おずおずと中に進むと、私はベットの横に立って声をかける。
「……」
「椿?」
ベットから身体を半分起こした椿は、立ち尽くす私を見て顎に手を添える。
えっ、もしかしてまた制服に違和感があるとかではないよね?



