「だからお前は俺になにか返すとか、大義名分なんか考えなくていいんだよ」



椿の表情が頼もしくてやけに大人びえて見える。



……さっきまでは、キスだなんて大胆なことを言ってからかってきたくせに。



「本当に私……椿を頼ってもいいのかな」


「当たり前だろ。それに俺にとってもその方が都合がいい」


「都合って……?」



椿はお城でも時期、星ノ宮家の当主になるべく、やることが山ほどあるはずなのに。



そんな私の心配をよそに、



「離れてた時間以上に明里のこと独占出来る」



最高だろ?と、息をもらして笑った。



「……っ、い、色々教えてもらうことになるから、そりゃ一緒に過ごす時間も増えるけど……」



独占だなんて面と向かって言われると心臓に悪いことこの上ない……。