椿の前から消えろとラスボスはしっかり要求しているけど……。



「俺の方がもらってばっかりだよ?」


「えっ。私……なんかあげたかな?誕生日だって、紙粘土のケーキくらいしか……」



子供の時、椿の誕生日に他の子達みたいにプレゼントを贈るお小遣いがなかったから、紙粘土でケーキを作った。



「それなら今も俺の部屋に飾ってある」


「え?あれを今も……?」



“ 食べれるわけないじゃんね! それに紙粘土って、貧乏臭っ! ”……とみんなから笑われた物なのに。



確かあの時、それを笑顔で受け取ってくれた椿は……



「────“ もったいなくて食べらんないよ”」


「……っ」



こうやって、優しい笑顔を見せてくれたんだ。


あの頃と変わらない笑顔が今もここにある。



覚えててくれたことが嬉しくて、椿の笑みに胸がキュンっと音をたてた。