そこでようやく椿は私を解放するように手を離した。
「親父みたいにすぐに店を救ってやれるほどの力は今の俺にはまだないけど。これくらい、俺が教えてやる」
今度は膝の上にポツンと置いていた私のカリキュラム一覧表を奪う。
全て最高評価を得た椿が教えてくれたら、望みはまだあるかもしれない。
「でも、いいの……?」
「明里は本気なんだろ?」
「……もちろん!」
迷いなく答える。
ラテアートは失敗しちゃったけど、この先の他のカリキュラムだって全力でやり遂げる覚悟だ。
「契約成立」
「契約って。私、椿にそこまでしてもらって……なにも返せるものがないのに……」



