火神さんが、嬉しい………?
すでに私の方が嬉しくて顔面がのびそうになる。
「は、はいっ!じゃなくて、うん……!」
私がぎこちなくそう言えば、周りの目も気にせずに笑ってくれた。
火神さんは頼もしくて、美しい容姿に釣り合う綺麗な心の持ち主だ。
「ところで、明里を推薦してくれた人って誰なの?」
ギクッ。
あからさまに顔が引きつっていくのがわかる。
「明里?」
「えーっと……実は、昨日言いそびれて……」
推薦がないと入学出来ないこの青薔薇学園。
その人物の名前を他のお嬢様に聞かれたら、またまたなにを言われるかわからない。
だから私は火神さんの耳元に少しばかり顔を寄せて、密かに呼んでいる名前を口にした。