「バスの乗り方ならまかせて!私が教えてあげるから!」


「わかるの?」


「うん!引越してくる前は、よくお母さんと一緒に乗ってたんだ!」



得意気な気持ちで胸を張る。


危ないという大人はいるかもしれないけど、私のお母さんは、なんでも自分でやってごらんという主義だ。


山育ちってこともあり、町に出るためにはバスに乗らなきゃいけなかったし、ひとりで乗ったことは何度もあった。



「私の名前は明里。よろしくね」


「……俺は、椿。よろしく」



自己紹介をして、私は椿の手をとると一緒にバスに乗った。


もちろん王子を守る人達もいそいそと乗り込んできた……。



「明里、あの箱みたいな乗り物はなに?」


「………箱!?えっと、あれは電車だよ!切符を買って乗れるんだって!」



流れる窓の景色に椿は目をキラキラさせていた。