幼なじみの名前は星ノ宮 椿(ほしのみや つばき)。


今年の春から私と同じ高校一年生。



世界第三位に名をあげる有名なホテル『シャングリラ』の現社長のご子息。


大おじい様だか、大大ひいじい様……だかが創立者だと聞いた。



椿は、将来このホテルの経営の全てを任される当主になることが決められている、生まれながらの御曹司……。



5歳の頃、雪国の山奥から引越してきた私はそんなことともつゆ知らず、このお城で椿を呼び捨てにして一緒に遊んでいた。



『なんたる無礼をお許しください……!!』とウチの親は事ある事に謝っていた。



今思えば、よく命があったなと思う……。



“ ド庶民と御曹司 ”。


あの頃の優しい思い出は数えきれないくらいあるのに、住む世界はあまりにも違いすぎたことにやがて私は気づいた。



なにより、椿のお父さんは社長だけあって鬼かと思うほど厳しい……。


それは子供の時から私に対してもそうだった。


だから私は密かにレベル99のラスボスと呼んでいる。



中学からは経営学を学ぶためにもと、お父様に言われた椿はいわゆるセレブ学園へと進学……。



だから私は中学3年間、椿と会っていない。