「そろそろ気づいてくれてもよくない?」


「……椿。ち、近いってば!」


「ねぇ、どうやったら手に入んの?」


「……っ、」



私の抵抗なんてお構い無しだ。


すっと手を伸ばして動揺する私の髪の先をつまんでくる。



「教えてくんない?」



目を上げて、真っ直ぐに私を見つめる。


……そして、まるで髪にキスをする仕草をしてみせた。



「きゃっ……!!!」



乙女の悲鳴はもちろん私の口から零れたものではない。


私は心の中で悲鳴を上げるしかなくて。


色んな意味で顔が熱くなって、心臓の音がうるさい。



「椿……なにしてんの……っ」



こんな状況で、みんなが見てるのに……。



「なにって。補給」


「ほっ、補給!?」


「言ったろ?三年も離れてたんだから、気が済まないって」