「っ、ま、まだなにから始めたらいいかわからなくて」
「まずは俺を目覚めさせるとこからじゃないの?」
黒崎の声じゃ、俺絶対すぐに起きないし、とねだるように私を見る。
「そこから!?」
「そうでしょ?我が妻の可愛い声で起きれるとか、最高すぎだろ」
灰色の瞳に、真っ赤に染まった私の顔が映り込む。
「あれ?いつもみたいに怒んないの?」
ん?と、イタズラっぽく椿が問いかける。
「お、起こすよ?」
だって、私だって椿と同じだから。
「目が覚めたら、一番に椿の顔……見たくなるから……っ」
私の心は、ずっと椿でいっぱいなんだよ。