「親父に言われるよ?話す時は目を見なさいって、ね?」


「わかってる……よ?」



私は恥ずかしさに襲われながら、椿の顔をそっと視界に映す。


そして、しばらく椿を見つめたあと、決心した気持ちを言葉にのせる。



「私……負けないよ?椿のお父さんにもっと認めてもらえるような……もっと素敵な大人になれるように……頑張るから」



大切な誰かを守れるような。


お父さんとお母さんのお店を、守っていけるような人に。



すると、椿が大袈裟くらい溜め息を零した。




「どうしてお前は、そうやって俺を夢中にさせることばっかり言うわけ?」


「へ?」



グイッと椿の手が私の身体を引き寄せる。


そこからは一瞬、何が起きているのかわからなくて。



「きゃっ……!?」



私の脇の下に手を滑り込ませた椿は、ひょいっと私の身体を自分の膝に乗せた。



な、な、なにしてんのーーーー!?