* * *
祭典が幕を閉じ、私は今、星ノ宮家のお城に来ていた。
なんでかっていうと……。
「えっ!?ら、ラスボス、もういないんですか!?」
「申し訳ございません。旦那様は、私用のため空港に向かわれてしまいました」
黒崎さんが説明してくれたあと頭を下げた。
遅かったぁ……。
明日からまた青薔薇学園に通うことを許してもらったこと、本当は、改めてお礼を伝えたかったんだけどな……。
「多分、ロシアに行くんだよ」
「ロシアって、確か椿のお母さんが今住んでるんだよね?」
大広間を抜けて、椿の部屋へと向かう途中、椿が話してくれた。
「そ。明日、母さんの演奏会があって。それ聴きに行ったから割と早く帰国するはず」
「そうだったんだ。じゃあ、またラスボスにはすぐに会えそうだね」
安堵したところで椿の部屋に通される。