「もしかして足りない?もっと言おうか?」


「っ、」


「お前がいないと、俺は息も出来ないよ。目が覚めたら明里に好きだって伝えたくてたまんない」



───そう囁いて、私の手の甲に口づけをする。



「俺の世界の中心にはいつだって明里がいる」



今度こそ、涙が堰を切ったように溢れ出した。



「青い薔薇の花言葉は、“不可能を成し遂げる”。それから“夢は叶う”って意味がこめられてるんだけど」



椿が教えてくれる言葉を、私は口の中で繰り返した。



「そして、もうひとつ」


「もうひとつ……?」



すっと立ち上がり、椿が人差し指で私の涙を拭う。



椿の瞳が淡く揺れる。


私は目を奪われる。



「“奇跡”」


「え?」



見上げたと同時、椿の手が私の背中に回って。


あっ、とビックリする間もなく、椿は私を胸の中に抱き寄せた。



とても優しく……。