目を奪われる私は、先ほど火神さんが言った通り、王子である椿に釘付け状態。
「なっ、なによあれ。豆腐屋の庶民が椿様を見つめるなんて。おこがましいわ!」
すみません、ともう何度目になるかわからない謝罪を心の中で繰り返す。
「なに言ってんの?」
だけど、すかさず椿がそのお嬢様へと振り返る。
「……な、なに、とは?だって椿様……庶民の分際で、あまりにもおこがましいじゃないですか!?」
「それ、勘違いしてるよ?」
「か……勘違い……?わたくしが?」
指摘を受けたお嬢様を見やると、椿は口角を上げて笑った。
「見てんのは俺の方だよ?子供の頃からずっと」
「……!?」
この状況で不覚にもドキッと揺れる鼓動。
椿の放った言葉は破壊力抜群だったらしく、お嬢様達はぐらりとバランスを崩し倒れそうになっていた。