────青薔薇の祭典当日。



「いってきまーす!」



玄関を出ると、夏の青空から灼けるような陽射しが町を照りつけていた。



私は深呼吸をすると、覚悟して家を出た。


お店は救われたけれど覚悟しなければいけないんだ。



ローズクイーンになるというラスボスとの約束は果たせなかった。


きっと今日の祭典にラスボスは来るだろう。


そこで私は、ラスボスから告げられることを覚悟している。



────“椿の前に現れないでもらいたい”



あの人の冷たい声が蘇る。


約束は約束なのだ。


来年こそは称号を手に入れますから!なんて、そんな出世払いみたいなものがラスボスには通用しない。



今日を最後に、学園追放になるかもしれない。


だから私は、後悔だけは残さないと決めている。