「あれ?明里、帰ってきてたのかい?」
……この声は、お父さんだ。
ダメだ、顔を上げられない。
「お姉ちゃんどーしたの?」
え?
聞き覚えのある声がした。
それと同時、私の視界に飛び込んできたのは、おもてなし会で出会った男の子だった。
「……ど、どうして?」
パッと顔を上げると、そこにはお父さんとお母さんがいて……
「素敵なお店ね」
ふふっとにこやかな笑みを浮かべたあのおばあさんまでもがいた。
「おばあさん……?」
「こら、明里。失礼よ!宮城(みやぎ)さん、すみませんね。なにも知らない娘でして」
お母さんが宮城さんと呼んだおばあさんに頭を下げている。



