「これが全てです!アレルギーの方にも召し上がって頂けたらって思って」
おばあさんが目を丸くしてメモを受け取る。
「こんなに細かく……親切にありがとうございます」
「なので安心して頂けたら嬉しいです……!」
もう一度、私は男の子にクッキーを渡した。
「大丈夫だよ、卵は使ってないから。サクサクしてて美味しいよ」
不安そうな男の子の顔が花咲くように明るくなった。
「ありがとう!」
嬉しそうにはしゃぐ男の子と、「よかったわね」と頭を撫でるおばあさんを見ていたら、ものすごく幸せな気持ちになった。
「こちらこそありがとう。私の両親がお豆腐を作ってるんだ。そのおからを使ったクッキーを食べてもらえるなんて、私も嬉しい」
男の子に笑顔を向ける。
「なんていうお豆腐さんか、聞いてもいいかしら?」
「はい……!榎並豆腐店です!」
特に捻りもなくそのままなのだけれど。



