「あっ!はい!もちろんです!」
おばあさんの後ろでもじもじしている男の子が、そっと顔を覗かせた。
「……いいの?」
大人しそうな男の子と目が合った私は、ゆっくりとしゃがんだ。
「おからクッキーです!どうぞ」
けれど、ラッピング袋を渡しても、男の子は一向に受け取ろうとしない。
「ごめんなさいね。頂きたいと思って声をかけたのだけど、そちらのお菓子の成分を教えてもらえないかしら……」
おばあさんが申し訳なさそうに言うと、男の子と私を交互に見た。
「孫は、卵アレルギーでね」
男の子はしゅんっと顔を伏せた。
卵……。
「そ、それでしたらこのクッキーは卵不使用ですので、問題ありません!」
私は胸ポケットに手を突っ込んで、使用した成分や材料を書いたメモを取り出した。



