「最初で最後、なこちゃんのためにしてあげれることだから。任務をまっとうするよ」
「っ、ほ、ホントにこのままでいいの……?」
自分自身に問いかけるように戸澤くんに言う。
当然、お互いに答えなんて出るわけもなく。
音楽室へと向かっていく戸澤くんの背中を見送った。
ダメダメ……。
今までやれるだけのことをやってきたんだから、ここで気持ちを崩すわけにはいかない。
「すみません。お尋ねしてもよろしいですか?」
その時、背後から声をかけられて、私は振り返る。
「……はい!なんでしょうか!」
そこには、薄紫色のスカーフをしたおばあさんと幼稚園くらいの男の子が立っていた。
一般の方だろうか……?
「そちらのお菓子は、頂くことは出来ますか?」
私のカゴを指さして、おばあさんが微笑んだ。



