S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。



「そ、そう見たいですね。私は詳しくは知らないのですが……」


「いやいやこれは実にめでたい!喜ばしいことこの上ないね!」



中に入ってきた蒼ノ月様は、心中穏やかじゃない私の心に拍車をかける。



「あの……それを言いにわざわざ私のこと探していたんですか?」


「いいや。実は、便乗するわけではないのだが、僕も正式にキミに婚約を申し出たいのだがどうだろうか?」



は……?



パコーン!と爽快な音とともに、火神さんが蒼ノ月様の頭を戸澤くんの譜面で引っぱたいていた……。



「空気読めなすぎ!あんたって奴は!」


「火神くん!なんてことをするんだ!痛いではないか!」



蒼ノ月様ってば、本当に自分の気持ちに素直に動く人だな……。



なんていうか、怒るとかそんな気にはならないけれど、見習いたいものがある。


そんなふたりのやり取りに困った私が戸澤くんを見れば、やれやれと言った様子で呆れていた。



「───なにをしているの?」



……と、その時。