「戸澤、ちょっと気になってたんだけど聞いてもいい?」
そんな戸澤くんの気配に気づいたらしい火神さんが問いかけた。
「んー?」
「あんたって、もしかして撫子様の───」
────ガラッ!
「明里くん!!探したじゃないか!」
ああ、なんてタイミング……。
火神さんが切り出したタイミングと重なるかのように、音楽室の扉が激しく開かれた。
「蒼ノ月!?なんで今登場してくんのよ!」
全くもって火神さんの言う通りである。
「ハァッ……ハァッ……あっ、明里くん!!」
ヒィッ……。
100メートル走でもしてきたのかと思うくらいめちゃくちゃ息切れしてる……。
「な、なにかあったんですか!?」
なぜ蒼ノ月様が……。
まさか、ランチ仲間に認定されたっていうのに、最近は忙しくて蒼ノ月様の楽しみであるお弁当を披露することがなかったからとかじゃ……。
ランチ仲間解消!と宣言しにきたとなれば快諾するのみ。
「星ノ宮と撫子くんの婚約が正式に決まったそうじゃないか!」
って、蒼ノ月様までその話か……。