不意に舞い込んできた意思のこもった声。


その声に、弾かれたように私は地から顔を上げた。



黒崎さん……?



「黒崎。お前は誰に向かって口をきいている?」



ラスボスの背後から真っ直ぐにこちらに目を向ける黒崎さんの表情からは、先ほどまでの不安は消えていた。



「旦那様、出過ぎた真似をお許しください。ですが、わたくしは幼少期の頃から椿様に仕えています。椿様の表情を、成長を、この目で見て参りました」


「何が言いたい、黒崎」



ラスボスが黒崎さんを一蹴する。



「旦那様は、ご存知ですか?椿様がとても柔らかく笑うようになったことを」



その問いかけに、ラスボスの眉がピクリと反応した。