椿は誰が見たって完璧な王子様だ。


それだけの努力をしてきたのだって、私は見てきたからこそ知っている。


そして、この人は初めて称号を手に入れた伝説の人だ。


だからこそ、私など椿には相応しくないと言いたいことはわかっている。



それでも、せめてもう少しだけ───。



「自信などないだろう?育ってきた環境はあまりにも違いすぎる。それはキミにとっても、今ただならぬ壁となっているはずだ。キミにはキミの世界がある」



もう少しだけ、頑張りたい。



「だから、椿の隣にいることはキミがどれだけ願っても、この先叶わないんだよ」



せめて、今はまだ椿のそばにいさせてほしい。



「称号など諦めなさい。あれはキミには手が届かないものだ。叶わぬ夢にしがみついても、キミが傷つくだけだから言っているんだ」



たとえ世界が違ったって、お願いだからあと少しだけ……。



「───それは、本当に叶わぬ夢なのでしょうか?」