「撫子さんのような女性がローズクイーンに相応しいということ。そして、完璧な姫と言える。わたしの妻も、ピアノを教えていた頃はさぞかし褒めていたよ」
ピアノ……?
椿のお母さんからピアノを教えてもらっていたのは、確か戸澤くんもだった……。
「キミに質問がある」
ぐるぐる考えているうちに、ラスボスは一歩私へと距離を縮めた。
「キミは、椿に相応しいと言える自信があるか?」
「……っ、」
唐突すぎる質問に胸がざわっと波打った。
「わたし達とは、世界が違うということ、本当はもうとっくに自覚しているだろう?」
ラスボスの声が今度はしっかりと胸の奥を貫いた。
わかっている、わかっていただけに重くのしかかる。