時刻は夜7時。


私はラッピング袋を手に椿の家の門まで来ていた。


食べたいなんて椿に言われて……私が作ったのはおからクッキーだ。



お豆腐を作る時に出るもので、豆乳から絞ったこのおからをお母さんは昔から料理に使っている。


ウチのお豆腐をおもてなし会に、とは思ったけどローランド先生に却下されたから。



ならばせめて!お豆腐の味に近いものをと思って、おもてなし会のレシピとして私は明日ローランド先生にこれを提案するつもりだ。



子供の頃、椿と一緒に食べた思い出の味。



それでお母さんに教えてもらいながら作ったおからクッキーを、椿に味見をお願いしようとは思ったんだけど……。



ついつい今までの癖で椿の家の前に来てしまったけど、ラスボスが私の出入りを禁止したことを思い出した。



万が一のことがあれば黒崎さんまで叱られるはめになってしまう……。



だから、このクッキーはまた後日に渡そうと踵を返したその時だった。