今階段を登ればふたりに遭遇する率100パーセント。
どうしよう。
ふたりは決していい空気とは言えない言葉のぶつけ合いをしてるっぽいし……。
ここは反対側の階段を使うべきか、と迷っていると……
「明里?」
「……っ!!」
頭上から椿の声が降ってきた。
あ、遅かった………。
階段を降りきった場所で椿と向き合う形になってしまった。
「椿様!まだお話は終わっていな───」
当然、椿のあとを追うようにして撫子様もやってくる……。
いつも椿の隣にいる黒崎さんの姿が見当たらないってことは、余程重要な話だったんだろうか……。
「榎並明里さん。まさか、今の会話を聞いていらして?」
小声で鋭く言われ、ドキリッと心臓が正直に反応する。



