* * *


「ありがとうございました!!」



涙もようやく止まり、晴れ晴れした気持ちでレシピ作成教室をあとにした。


もうひとつ考えたレシピは、今一度見直してから提案することにしよう。


三階にある教室へ戻るため廊下を歩く。



「あなたがそうしてくれないと、わたしも困りますわ!」


ん……?


なにやら男女の話す声が階段の方から聞こえてくる。



「だから無理。何回言わせるつもり?」



こ、この声は椿の声だ……。


このひとつ上の階段を上がったところにいるのがわかる……。



「お父様から聞いているでしょう?もう決まったことなのよ?」



……これは、撫子様の声だ。


なんの話をしているのかわからないけれど、気にならないと言えば嘘になる……。