「"諦めないこと。それだけです“と、謙虚に答えていらしたわねぇ」
ラスボスの謙虚な姿は想像もつかないけれど。
諦めないこと……。
胸の中でその言葉を繰り返した。
「それで?あなたが気を落としている理由っていうのは、なんなのよぉ?」
わざわざ授業が終わったあとにこうして尋ねてくれる。
ローランド先生は気にかけてくれたんだろう。
「もし……好きな人が自分には手の届かない存在だったら、ローランド先生は、どうしますか?」
「諦めるか、追うか。二択よ!」
ローランド先生が追う姿なら簡単に頭に浮かんでくる……。
「あなたがワタシにそう質問してくるのだから、つまりあなた自身が厳しい恋でもしてるのかしらあ?」
私はコクリと小さく頷いた。



