朝から太陽の照り返しがキツイ。

学校につく頃には軽く汗をかいていた。



「寝不足か?ひでぇ顔してるぞ」



私の顔を覗き込んできたのは戸澤くんだ。



「ううん。こんなにも空は青いのに私の心が雨模様なだけ……」


「榎並もポエマーとか勘弁しろって」



ケラケラ笑う戸澤くんだったけれど、私の心はまさにそんな感じ。



一夜明けても、撫子様の言葉はどんと重くのしかかったままだった。



「……あのさ、戸澤くん。昨日ピアノ弾いてる時……音楽室に誰か来たりした?」


「いーや?そんな物好きいねぇよ。元々限られた生徒しか出入り出来ねぇし。なんで?」


「……ううん。誰か来ることもあるのか気になっただけ」



戸澤くんは、変な奴だなと首を傾げた。


撫子様は否定していたけれど、やっぱり戸澤くんのピアノを聴くためにあの場にいたんじゃないのかな……。