撫子様の表情がみるみると怒りに染まっていく。
「クラスメイトのピアノなんか聴いている場合じゃないでしょう?あなたの称号への熱意はその程度?」
「私は……」
「それとも、ローズクイーンを甘くみていらして?」
「……いいえ!決してそんな風に思っていません!!」
どれだけ小さな頃から英才教育を受けていたって容易ではないこの称号。
それをなんの教養もない私が目指すなど、まさに石に花咲く、ということなのかもしれない。
だから私は、捨て身の覚悟だ……。
「自分の未来をかけてまで必死になる理由は、潰れたお店のためだけじゃないのでしょ?」
……まだ潰れていません、と否定したいところではあったけれど、撫子様のただならぬオーラに口ごもる。