「……ご、ごきげんよう!はじめまして!」



私は勢いよく立ち上がり90度のお辞儀をした。


野次馬の如く見ていたお嬢様達は、何事かと目を見張る。



やばい……お目にかかってみたかったローズクイーンが、唐突目の前に現れたから震えてる……。



「大鳳撫子と申します。いきなりごめんなさい。どうしてもあなたにお会いしたくて」



と、一定の声音でそう言うと、口もとにほんの少しの笑みを浮かべる。


いよいよ手汗が吹き出る事態だ。



「い、いえ!私は……榎並明里と申します!あの……どうして私だと、わかったんでしょうか……」



……これが初対面であるにも関わらず、撫子様は迷いなく私のところへきた。



「育ちとは恐ろしいものよね。あなたの放つ空気や挙動で一目でわかったの。どの生徒よりもなってないんですから」



ふふっ、と華やかな笑みを見せる。



ちょ、ちょっと待って……?


私、今ローズクイーンからチクリと嫌味を飛ばされたような……。



「不躾な質問だけど、椿様の幼なじみというのは本当なの?」


「……は、はい」