「ありがとう火神さん。怖いのに、本当のことを私に打ち明けてくれて……最初に声をかけてくれて、ありがとう」
それが、どれだけ嬉しかったか。
まるで自分がいてはいけない世界のように感じる場所で、あの日、声をかけてくれたことがどれだけ救われたか。
やっと伝えることが出来た。
「称号を目指して、まだまだ頼っちゃうことばっかりかもしれないけど。でも、私頑張るから。だから、隣で見守っててほしい……です」
いばらのみちへの挑戦なだけに、自信はないけれど。
「……わたし、明里の隣にいてもいいの?」
私は傘を握る火神さんの手に自分の手をそっと重ねる。
「もちろんだよ!火神さんにも、私の成長を見ててもらいたいもん。だから改めてよろしくね」
私は火神さんにも傘を傾ける。
目が合って私は笑う。
「……っ、」
でも火神さんはボロボロと泣いていて、もう雨か涙かわからない。



