ビックリした火神さんの目と私の目が合った。



それが嬉しくて。

嬉しいのに、泣きそうになる。



「なんで……?怖くないの?わたしのこと」


「怖くないよ。なにひとつ、怖くない」



少しの迷いもなく私は答える。



「怖いって気持ちを素直に口に出来る人が、怖いわけないもん」



火神さんは目を見張ったようにして私を見つめる。



「私は、火神さんにもう二度と目も合わせてもらえないことのほうが怖いよ」


「……でも、わたしの家は」


「──── “どこの家の出身だろうと、自分を蔑むことなんかないんだからね ”。火神さんが教えてくれたんだよ?」



私がそう言えば、火神さんは“ 明里 ”と、かすれた声で私を呼ぶ。