こんな私に声をかけてくれるなんて。
……どこの心優しいお嬢様でしょうか。
ありがとうございます、ありがとうございます。
「榎並明里と申します!!」
私は自己紹介をすると勢いよく頭を下げた。
「明里って呼んでいい?どうも他のお嬢みたいに、“ さん付け ”は苦手で」
「それはそれはお好きに呼んでくださいまし!」
「ふふっ。あんた面白いね。じゃあ明里で」
火神さんは目を緩ませて微笑んでくれた。
サバサバしていてなんだか話しやすい。
か、感動する……。
セレブ学園でこんな庶民なんかと会話してくれる人はいないって思ってたから。
「にしても、外部なんて珍しいね。どこの組……じゃなくて、明里はどこの家の出身?」
……ん? 組?
今、組って聞こえたような気がしたけど、気のせいかな?



