私は顔面凶器の前に回る。
が……しかし、またしても逸らされる。
ほ、ほら……。
この顔面凶器でさえもこの通りだ。
「気にしないで。称号のためにって、明里は頑張ってんのに……心配かけてごめん」
謝らないで、と声をかけようとしたけれど、火神さんは自分の席へと行ってしまった。
もしや、私が避けられてる……?
火神さんの様子が変なのも元気がないように見えるのも、次の日もやっぱり変わらずだった。
「……あ、あのさ、明里。前、見て?」
観察するかのように私は授業中も火神さんを見て過ごしていた。
うん、やっぱり私によそよそしいって感じがする……。
そういえば火神さんが他のお嬢様と話しているところや、一緒にご飯を食べる姿は一度も見たことがない。
案の定、昼休みになると声をかける前に教室から出ていってしまったし。
「あの……っ!!私、火神さんになにか嫌なことしてしまった……かな?」
避けられてるような日々が続いたある時、私は思い切って聞いてみることにした。



