てか、席と席の間が広い……。


私の知ってる教室は誰かの手提げ袋が机の横にかかってて、通路を通る時は非常に邪魔だった記憶がある。


なんなら体操着をどれだけコンパクトに畳んで手提げに突っ込むかの練習さえしたのに。



「泳ぐならシンガポールのホテルに素敵な屋外プールがあるわよ」


「ああ。そこなら僕も月に一度は行くよ。展望デッキから見る街並みは絶景だからね」



ガヤガヤと騒がしい教室にはお嬢様や御曹司ならではの会話が舞っている。


しかも教室の後ろの方ではそれぞれの執事、SP、側近であろう黒服の方々が仁王立ちしている。


授業参観形式……?



キョロキョロ辺りを見回しても違和感しかない。


そういえば椿は白いブレザーだったけれど、このクラスの男子は青いブレザーを着ているのは、なんでなんだろう。



頭がパニックになりながらなんとか自分の席へと座った。



チラっとこちらへ目をやるセレブの方々……。



「……!?」



ゾワッと身震いでも起こしたかのように私を見て固まっていた。



「………なんか、いらっしゃってるわよ」


「み、み、見てはいけないよ。あれは外部入学の者だ。僕らとは暮らしも違うからフィーリングはまず合わないさ……っ」



私、そんなに庶民臭さがでてるんだろうか。