嵐が去り授業前の予鈴が鳴ったところで、
「ひっ、火神さん……!」
注目を浴びるふたりが出ていったのと入れ違うかのように、火神さんが戻ったきたのだ。
私は一目散に駆け寄る。
「……ちょっ、明里?どうしたの?蒼ノ月になんかされた?」
突然、瞬間移動のごとく現れた私にビクリとしている。
「ううん!大丈夫!それより……火神さんが昼休みにいなくなっちゃったから私……っ、気になってしまって……」
目を大きく開いて驚きを見せる火神さんだったけれど、すぐに視線を逸らされた。
グサッ……。
「あー、いや……トイレだよ」
「トイレ!?」
う、嘘だ……。
私が言うと図々しいけど、自称火神さんの友人かもしれない私が見ても、火神さんが誤魔化したってことはわかってしまった。
こんなにトイレが長丁場なわけない!
それに、隣に付いて歩く側近である顔面凶器だって今私から目を逸らした。



