「手始めにキミの唇を奪わせてもらうというのはどうだろうか?姫君はロマンチックなものに夢見がちだと聞いている」
「っ、な、なに考えてるんですか!?」
本当になにを血迷ったのか、席から立ち上がった蒼ノ月様は私の肩に手を添える。
「姫君に口づけをしようとしている。さっ、明里くん。目を閉じて?」
って言われて素直に閉じるバカに私は見えるのか……。
蒼ノ月様の身体を突っぱねようとしている私に唇を近づけてきた、その時……
───ベチッ!!
平手打ちでもしたような音がすぐそばで聞こえたと同時、
「お前が永遠の眠りにつくってことでいい?」
聞き慣れた声が頭上から降ってきた。
勢いよく顔を上げれば、口角を上げてほくそ笑む椿が立っていて……。
「えっ、椿!?な、なにして……っ」
言いかけて、唖然とする。
私に顔を寄せた蒼ノ月様の口もとを手のひらで塞いでいるから……。



