「言われてみれば、火神組って名前が出たりすると、そらされてるような気もする……」
だから私から聞いたことはないのだけど。
「友達ならそのうち話してくれんだろ」
そう言い残して、戸澤くんは今度こそ音楽室へと向かっていった。
友達なら……。
私は火神さんにとってどういう存在なんだろうとふと思う。
ただのクラスメイト……だろうか。
「私が友達って言ってもいいのかな……」
火神さんのことばかり考えていたら声となって口から零れ落ちた。
「ん?僕と明里くんのことかい?もちろん食事仲間だよ」
「……」
あなたのことじゃないです、と喉元まで出かかった私に、
「無論、僕は明里くんとならばもっと深い関係を築きたい!」
「……浅くていいですから」
「謙遜(けんそん)することはないさ。こうなったらすぐにでも取り組もう」
……このポエマーは人の話し聞いてる?



