「ごきげんよう。今いらして?」
「ええ。今日は父の別荘から向かったから遅刻するかと思ったわ」
ごきげんよう?
現在の元号は令和であってるよね……?
ここだけ1950年代頃にタイムスリップしてるとかでもないんだよね?
お嬢様方からすればしっかりした挨拶であり、当たり前なのか……。
こんなこと言ったら、これだから庶民は!と言われてしまうから気をつけねば。
しかしこれはほんの開幕に過ぎなかった。
驚かされる一日はここから始まったのだ。
下駄箱……と呼ぶには広くて綺麗すぎるエントランスホール。
そう書かれた場所で靴を履き替える。
吹き抜け天井……見上げれば空……。
ぐはぁっと心の中で驚いたけど、気持ちを切り替えて歩き出した。
私の教室は1-C、三階か。
よしっ!!
意気込んで向かおうとした矢先……