「案ずることはない。キミが受ける予定だった授業に関しては、教師に言付けをしてある」
もちろん称号がかかっている大事なカリキュラムだけど、今はその心配をしてるんじゃないんですが……。
火神さんだって、盆栽を置きに行くと出てったっきり戻ってこない私を心配しているかもしれない。
それに、椿だって……。
────“ お前の声にすぐに反応するとか。重症か、俺 ”
私の方こそ重症だ。
こんな状況に立たされてもなお、椿のことで頭がいっぱいになるなんて。
「すみませんがっ、降ろしてほしいです……」
私は意を決して口を開いた。
「なぜだ!」
「ヒィッ……怖い、です!」
「そ、それは悪かった。星ノ宮のことを考えていたらつい……」
さっきの椿とのやり取りでも感じたけど、ふたりは犬猿の仲ってことはどうやら本当みたい。
「……大変申し訳ないんですが、私には時間がないんです!それにいきなりこんなことされても、困ります!」