「ふーん。それも悪くないな?」
椿は意味深に呟くと口角を上げて笑った。
「なっ、なにを言ってる!僕は女性が好きで、いくら洗練されたと言われるキミでも男と恋など───」
「もう黙れよ」
蒼ノ月様の顎を指でつまみ、クイッと上を向かせると、椿が顔を寄せた。
「俺を寵愛してお前の明里への気持ちが消えるなら、俺は大歓迎だよ?」
「……ふ、ふざけるな!」
蒼ノ月様、誤解を招くほどお顔が真っ赤になっておられますけど……。
「なんて美しいおふたりの絡みなの!?」
感激してる周囲のお嬢様方に私は少々顔をひきつらせる。
「人のもんに手出したのはお前の方だろ?」
「人のものって。明里くんとはただの幼なじみだろう?ま、まさか星ノ宮……キミも明里くんに惚れているのか……!?」



