「なぜキミは逃げるんだ。榎並明里くん」
先ほどの追っ手である黒服の皆様を引き連れた王様こと蒼ノ月様が現れた。
「蒼ノ月様!?」と、静かな教室内がたちまち騒然とし始める。
「……あ、あぁ。もうダメだ」
さらわれる、消される、人生終わる。
名前まで既に知れ渡っている。
火神さん、戸澤くん、短い間だったけど本当にありがとう……。
不在のふたりにお礼の言葉を呟き、天にも召される覚悟をした。
「驚かせたのなら申し訳ない。意見されたあの瞬間から明里くんのことが頭から離れなくなってしまったんだ」
「すみませんすみません。あの僅かな時間でそんなにも蒼ノ月様のお心を不快にさせてしまったんですね……っ」
「だから是非、僕と食事をしてくれないか?」
「すみませんすみません……っ、!?あの……しょ、食事……え?」
予想の斜め上をいきすぎる発言に息をすることすら忘れる。