「美味しい~~!!」
イタリア産チーズを使用したエッグベネディクト……だったかな?
料理長さんらしき人がメニューを紹介していたんだけど、これが絶品グルメっていうものなのだろう。
とろ~りチーズと、ベーコンにマフィンを口に入れた瞬間、私は感動すら覚えた。
「な、なに……っ?」
そんな私の顔を、椿がジーッと見つめていることに気づく。
「なにって。可愛い妻がランチしてる姿見てんの。悪い?」
「っ、」
むせそうになって、慌ててお水の入ったグラスを手に取った。
「意味わかんない……っ。食事中にそういうこと言うのは……」
「わかんないの?黒崎。俺は今どんな顔をしてる?」
だから、またそうやって……。
「はい椿様。明里様がお食事をされているお姿に、大変ご満悦の表情でございます」
「明里、わかった?」
「……」
今日学んだことは、カトラリーの使い方と食事の仕方、それともうひとつ。
王子は大変独占欲が強いらしいってこと。
……そして。
このあと待ち構えている出来事によって、その独占欲の強さを、私はもっと思い知らされるのだった。