「あんた、豆腐屋のストーカーだろ?ん?ストーカーの豆腐屋?どっちだっけ?」
初めて声をかけてくる言葉がそれって……。
「ちょっと待ってよ!豆腐屋だけど、私はストーカーではないよ!」
「悪い悪い。新学期早々騒がれてたからつい。俺は戸澤響。あんたと同じ外部入学なんだ」
「外部!?わ、私は榎並明里。よろしく……」
「まぁ、庶民同士よろしくな」
おぉ……。
まさか同じクラスに外部入学の人がいたなんて知らなかったな。
「ところで、戸澤はなんでここにいるの?世界最高峰のこのピアノ、スタインウェイを弾いていいのは限られた生徒だけでしょ?」
「あー、それなら許可は得てるよ。はい、これが証明」
戸澤くんは気だるげにブレザーのポケットから一枚の手紙を取り出した。
「入学許可証………?なによ、これ」



