雨が徐々に小降りになり始め、沖田と一花は屯所へと戻った。


屯所の門が見えた頃、門から山崎が姿をみせた。こちらの存在に気づくと、笑顔を浮かべた。


「おかえりなさい、突然の雨で大変でしたね」


これをと手拭いを渡され、一花は受けとると頬に垂れる雨粒を拭き取った。


『ありがとうございます』


「副長が、変わったことはなかったかと」


手拭いを渡された沖田は、顔を拭きながら首をふった。


「今の所はだけどね」


「そうですか、ここ数日は外魔の行動が控えめになっているのが気がかりですね」


山崎は顎に手をあて、考え込むようにうつむいた。


「まるで、嵐の前の静けさって感じだね。今まで以上に警戒する必要があると思う」


沖田は、いつもの笑みも消え真剣な表情を浮かべた。


「自分も同感です、今のところは異変はなかったと報告しておきます」


「うん、頼むよ」


「朝比奈君。君はお風呂に入って服を着替えおいた方がいい、風邪をひいては大変ですから」


『はい、わかりました』


それでは、と土方への報告のため山崎は沖田と一花に背を向けた。