屯所へ向かって急いで走ったが、雨は本格的に降り始めてしまった。傘がないこの状況で橋って帰ることはできないだろうと、空き家の軒下で二人は雨宿りする事にした。


「本降りだねぇ……まぁ、夕立だからすぐやむよ」


『そうですね、早くやむといいですね』


期待とは裏腹に、雨脚はだんだんと激しさを増していった。濡れた服が少しずつ体温を奪っていく。


ちょっと、寒いな。


ブルリと小さく震えた一花に、気づいた沖田は自分の着ていた羽織を脱いだ。


「風引くから、コレ着てなよ」


フワッと羽織をかけられ、目を丸めた。


『いやいや、でも沖田さんも寒いでしょ??』


「僕はこれでも鍛えてるからね、この程度なら平気だよ」


気にせず着てて、君に風邪をひかせたなんて知られたら、山崎君の怒られちゃうから、と沖田は冗談交じりに笑った。


『……そうですか、じゃあ、お言葉に甘えて……有難うございます』


かけてくれた羽織を握り、笑顔で頭を下げた。


羽織のおかげで暖かい、ほんのり香る沖田さんの香り……落ち着く。って、何を考えているんだ私は!!!!