「いやぁ、旦那も隅に置けないねぇ」
勘違いした女性に、一花はアワアワと否定するタイミングをうかがった。
「残念だけど、この子とはそういう関係じゃないよ」
女性は、沖田の話を聞き口に手を当てた。そして、申し訳なさそうに眉をたらした。
「おや、そうなのかい??おばちゃん勝手に勘違いしちまったみたいだねぇ、堪忍しとくれよ」
『いえ』
気にしないでくださいと一花は微笑を浮かべた。
「さて、何にしましょう」
「僕はいつもの。君は決まった??」
常連らしい沖田はお品書きを見ることなく注文する。一花は一通り目を通すと女性を見上げた。
『あの、オススメってありますか??』
「オススメは白玉餡蜜だよ」
『じゃあ、白玉餡蜜をお願いします』
「はいよッ!!ちょっと待ってておくれよ」
注文を受けると女性は厨房へと姿を消していった。
『良くココへ来られるんですね』
「ん??まぁ、甘いものが好きだからね。この町ではココが一番美味しい」
フフンッとドヤ顔で沖田は腕を組んだ。甘味屋を片っ端から食べ歩いた結果らしい。
甘味への愛情が凄まじい。



