もう彼女たちの目には、嘆き悲しむ女など入っていなかった。



どんなに罵倒されたり蔑まれたりするよりも、自分の存在を視界にも入れられない方が女にはダメージが大きかった。



やはり自分には手の届かない存在なんだ、と諦めるのが普通だろう。



──だが恋に狂った女は普通ではなかった。





「ふざけんじゃないわよ…ッッッ!!!!!!先輩は誰か1人の “モノ” になんてならないの…!先輩は優しいから優しいから優しいから優しいから優しいからッッ。
…………あァ待っててね、先輩。今すぐそんなゴミ虫女なんて駆除してあげるから」





そう狂ったように叫び散らした女は、逃げるようにしてその場をあとにした。



もう、人ひとりとして残っておらず、一瞬の静寂がこの場を包んだ。