生まれた時から隣の家に住む2歳上のお兄ちゃん
物心つく前から「こうちゃん」と呼び続けて早19年
仕事で両親は家にいない事が多く、幼い頃は毎日のようにこうちゃんの家でご飯を食べさせてもらい本当の家族のように育ててもらった
毎日一緒に過ごし何かと面倒をみてくれるこうちゃん
保育園も年長くらいになると「誰が好きー?」みたいな話も出てくる
その頃から「こうちゃん」一択
ずっとずっと好きなのにずっとずっとこうちゃんにとって私は妹のまま
思春期になると妹でいるのが辛くて自分の家で過ごす事が多くなった
「…か、佳香朝だよ」
朝、なかなか起きられない私を起こしにくるのはやっぱりこうちゃん
面倒見がよくて世話焼きなこうちゃんは私が自分の家で過ごすようになってから、いつの間にか合鍵を入手して勝手に家に上がり相も変わらず任務のように私の世話を焼く
重たい瞼を擦りながら体を起こすと上から「はぁ…」とため息が落ちてくる
「佳香、またそんな格好で寝てたの?風邪引くからちゃんと着なきゃって言ってるでしょ?」
お母さんみたいな事を言って私のクローゼットからパーカーを取り出して私の肩から羽織らせる
こうちゃんに私のことを女として見て欲しくて
毎朝起こしにくるこうちゃんの目に入るように私はキャミソールと短パンという薄着で寝ていた
でも結局こうちゃんは『お兄ちゃん』で今みたいな対応しかされない
「ほら、ご飯作るから顔洗っといで」
私がこうちゃんの家に行かなくなってから、こうちゃんは私の家でご飯を作るようになった
顔を洗ってダイニングに行くとテーブルには私の好きなピザトーストとサラダとヨーグルトが用意してあった
こうちゃんがコーヒーを入れてくれて「ほら食べるよ?」と私を椅子に座るよう促す
こうちゃんの入れてくれるコーヒーにはいつも砂糖が4本とミルクが入っている
私が甘くないと飲めないから…