いったいどういうこと?

「お、怒ってないの?」

「なんで怒るんだ?今まで着物を着付けていて時間がかかったんだろ?」

「……そ、そうなんだよ!」

なんかよく分かんないけど、上手く誤魔化すことができたみたい。

「ご飯できてるから、着替えたら下りてきなさい」

「う、うん」

お父さんは優しく微笑むと私の隣を通り過ぎていった。

「よ、よかったぁ」」

そっと胸をなでおろす。

でも、お父さんはなんで怒らなかったんだろう?

そんな疑問を抱きつつ、私は自分の部屋へと向かい扉を後ろへと引く。

そこは、昔となに一つ変わらないたくさんの思い出がつまった部屋が広がっていた。

両壁には、珠と一緒に写っている写真や、お父さんとお母さんと写っている写真などが飾られている。

「本当に何一つ変わっていないよね」

私は、珠と一緒に写った写真を見つめる。

「珠……」

写真を優しく撫でた時、机の上に何か紙がおいてあることに気がついた。

「なんだろう?」

手にとって見てみると、そこには『花火大会お知らせ』と書かれていた。

「もしかしてお父さん」

これと私の服装を勘違いしたのだろうか?

「でも、花火大会なんてあるんだ」

小さいときの記憶が正しければ、花火大会なんてなかったはずだけど。

日付は8月14日と書かれていた。

「珠たち誘ってみようかな?」

部屋着に着替えた私は、お父さんいる部屋ねと向かった。